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「一体…何のためにこうやってやり直させたんだ!」 「知る必要は無い。お前達の戦いは、何も変わらない。ただライダー同士で殺しあうのみだ」 令子達が誘拐された事件、その結末には大きなイベントが残されていた。 13人目にして最強の仮面ライダー『オーディン』が現れるという事態である。 真っ先に彼に向かっていったヴィータはすぐに殴り飛ばされ、他のメンバーも次々と殴り飛ばされた。 ただ一人、龍騎はタイムベントの前の記憶が残っていたため一撃を入れることに成功するが、それも全くダメージを与えられない。 そして龍騎が殴り飛ばされ、今に至るというわけだ。 「いや…変わったよ」 「何?」 「重さが…消えていったライダーの重さが2倍になった!これ以上は増やさない!」 その言葉とともに、龍騎が立ち上がる。 「人を守るためにライダーになったんだから、ライダーを守ったっていい!」 「城戸…」 龍騎の言ったことを聞いていたのか否か、オーディンはすぐに去っていった。 「私と戦うのは最後の一人だ。続けろ。戦いをやめるな」 「看護婦さん、フェイトちゃんはまだ…?」 「ええ…まだ目は覚めてないわ」 数日後、海鳴大学病院。今日もなのはとはやてはフェイトの見舞いに来ている。 体のケガはほぼ完治しているが、目は未だに覚めていない。それが今のフェイトの状態である。 「そう…ですか…」 やはり残念そうだ。もしかしたら、既に目が覚めていて、驚かせるためにわざと眠っているふりをしているのではないか。 そう思いたくもなったが、現実は非情。フェイトは未だに目が覚めない。 「あ、もうこんな時間や。そろそろ帰らな…」 時計を見たはやてが言う。現在の時刻は五時。子供はそろそろ帰る時間だ。 「あ…そうだね。それじゃあフェイトちゃん、また来るね」 そう言ってフェイトのいる病室を出る二人。 帰り際、なのはが見覚えのある人間…秋山蓮を見かける。 こんな時間に病院に何の用…いや、考えるまでもない。一般人の病院への用といったら、見舞いか診察のどちらかしかない。 「…はやてちゃん、悪いけど、先に帰っててくれない?」 蓮の用事が気になったなのはは、はやてに先に戻るよう言う。 「別にええけど…どないしたん?」 「ごめん、ちょっと用事ができちゃって」 「ふーん…分かった。ほなな」 なのはの用事とやらを深く追求せず、そのまま病院の出入り口で別れた。 残ったなのはは蓮の後をつける…もっとも、バレバレだが。 第二十一話『星と虎の邂逅』 蓮は今、彼の恋人…小川恵理の病室にいる。 小川恵理は数ヶ月前、蓮がライダーになった日からここに入院している。 その日は神崎士郎によるミラーワールドの実験の日。その被検体が恵理だったのだ。 そして実験は成功。ミラーワールドからモンスターの一体…ダークウイングが引きずり出された。 そのダークウイングが放った超音波により、恵理は意識不明となり、今も眠り続けている。 そしてその日、迎えに来ていた蓮が事件に鉢合わせしたのだ。 その時は怒りに任せ、神崎を殺そうとした。だが助ける手段…ライダーとして戦うという手段を知り、神崎からカードデッキを受け取った。 その日から蓮はライダーとなった。恵理を救うために。ダークウイングと契約したのも、恵理を喰わせないためだ。 「恵理…」 恵理の名を呼んだ。やはり反応は無い。 ふと心電図に目をやる。どうやら問題は無いようだ。 …と、鏡から音…いや、ダークウイングの鳴き声が響いた。まるで「餌をよこせ」とでも言っているかのように。 蓮はその発生源の鏡を見つけ、思い切り拳を叩き込んだ。鏡が砕けるのと同時にダークウイングが去る。 その後、帰り道にて。 あの後なのはは蓮に見つかり、事情を聞いた。 モンスターによる意識不明の恋人。それを救うための戦い。それが蓮の戦う理由。 蓮の戦う理由を知ったなのは、その足取りは重い。 「レイジングハート…他のライダーの人達も、蓮さんみたいに大事な理由で戦ってるのかな?」 不意になのはが足を止め、口を開いた。 『…でしょうね。おそらくは神崎士郎の願いに賭けるしかなくなった人達、それがライダーとなったのでしょう』 「そう…だったら、私達に戦いをやめさせる資格なんてあるのかな…?」 今のなのはには迷いがある。人を殺してでも叶えたい願い、その中には蓮のように「大切な人を救いたい」というものがあるのだろう。 それを諦めさせてまで戦いをやめさせる資格があるのか、それがなのはの迷いだ。 すると、レイジングハートが口を開いた。いや、口は無いが。 『ならばマスター、あなたは他の12人を犠牲にすることを肯定するのですか?』 「そんな事は無いよ。ただ…」 なのはがそれを言い終える前に、言葉が中断されることになる。 キィィィン… 「! レイジングハート!」 『All light.Barrier Jacket standing up.』 その頃、清明院大学401号室では。 キィィィン… こちらでも例の金属音が聞こえる。というのも、なのはの帰り道の近くにこの学校があるからだ。 こちらではミラーワールドを閉じるための研究をしているというのは前述の通り(第十話参照)。 それを面白く思わない神崎士郎は、たびたびモンスターを送り込み、ミラーワールド封鎖を阻止しようとしている。 そして今回もまた然り。すぐ近くにモンスターが現れた。 「やれやれ、また…ですか」 香川が呆れ果てたような声で呟く。しょっちゅうの事なのでもはやモンスター襲来は止まらないと半分悟っているようだが。 「そろそろ東條君が向かっているところでしょうか…まあ、彼に任せるとしましょう」 香川はそう言って、研究を再開した。事実、近くにいた東條がこの反応の元であるモンスターの元へと向かっている。 この後、魔法少女と虎のライダーの接触があることを、今知っている者はいない。 高速でなのはの元へと飛ぶ、緑色のモンスターが一体。名を『ガルドミラージュ』という。 ガルドミラージュはなのはを視認しると、背負った圏と呼ばれる投擲武器を投げつけてきた。 ミラーワールドへと入ったばかりのなのははそれに気付かない。 『Protection Powered.』 レイジングハートの張ったプロテクション・パワードでようやく気付く。 幸い自動防御で何とか防ぎきれる程度の威力だったから返すことはできたが、その時に隙はどうしても生まれる。 そして生まれた隙を狙い、爪での一撃が飛んだ。それを紙一重でかわす。 「速い…それに、入ってきたのと一緒に撃って来た…」 『おそらく、神埼が本気で潰しに来たのではないでしょうか。 それならば、入ったのと同時に仕掛けてきたのもうなずけます』 ガルドサンダー、ガルドミラージュ、ガルドストームの三体は、神埼が従えるモンスターである。 それがここにいたということは、誰かを消すためだろう。 そして、入ってきたと同時にかかってきた説明もつく。始めからターゲットとして指定した相手が寄ってきたら、すぐさま仕留めようとするだろう。 「それって…前にフェイトちゃんが言ってた理由なの?」 『おそらくは』 『ライダーの戦いを邪魔する者達』、それが神埼から見た魔導師達の認識である。 その邪魔をさせないために、他のライダーにも警告を発したらしいが、今の時点ではそのライダーからの襲撃は無い。 …となれば、神崎が手駒を使い、始末に乗り出したとしても何ら不思議ではない。 …今はそんなことを言っている場合ではない。ガルドミラージュに対処すべき時だ。 「…今はそんな事言ってる場合じゃないよね。レイジングハート!」 『All light.Restrict Lock.』 捕獲魔法『レストリクトロック』をガルドミラージュの軌道上へと仕掛ける。それから一秒と経たない間にその区域へと入ってきた。 現れた光の輪がガルドミラージュを捉え、動きを封じる。 それを確認し、フラッシュインパクトで叩き落とし、アクセルシューターでさらに追撃。 「やった!?」『いえ、まだです』 ガルドミラージュはまがりなりにも神崎の手駒だ。アクセルシューター数発で沈むほどヤワではない。 下からガルドミラージュの圏が飛来する。それを何とか避けるなのは。 だが、それこそがガルドミラージュの狙いだった。600km/hの飛行速度を利用し、なのはへと迫る。 慌ててフラッシュムーブで避け、地上にある森へと逃げ込む。それを追ってガルドミラージュも森へと飛び込んでくる。 しばらく森の中で、空を飛びながらの鬼ごっこが続く。するとなのはの目の前に大木が見えた。 「あった!」 大木を見つけ、自分の狙った手を実行に移すなのは。その手とは、なるべく大きな木の手前で急上昇するという手だ。 これほどの速度ならば小回りが利かず激突する。なのははそうにらんだ。 そして作戦通り急上昇する。ガルドミラージュは狙い通り激突し、その場にダウンする。 後はとどめをさすのみだ。上空からバスターモードで狙いを定める。そして… 「ディバイィィーーン…バスタァァァーーーーー!!」 『Divine Buster Extension.』 上空からディバインバスターの光が飛ぶ。その光はガルドミラージュを飲み込み、そして消し去った。 『お疲れ様です』 「ふぅ…」 ガルドミラージュを仕留め、地上に降りて一息つくなのは。 「それじゃあ、帰ろっか?」 『そうですね。そろそろ戻らないと、心配かけるかもしれませんし』 そう言って帰ろうとするなのは。だが… 「…えっ?」 無数の羽――さしずめ羽手裏剣といったところか――が飛来し、なのはを木に固定した。 近づいてくる羽手裏剣を放った張本人。それは先ほど倒したガルドミラージュ同様、神崎士郎の手駒であるモンスター『ガルドストーム』だった。 「まだいたの…?」 なのはは、今回現れたモンスターは先ほど倒したガルドミラージュだけだろう、そう思い込んでいた。 だが実際は違う。目の前にガルドストームがいるのがその何よりの証明だろう。 そのガルドストームが斧を構え、なのはへと走る。 羽が抜けず、固定されたままのなのは。覚悟を決めたのか、目を閉じた。 …だが、斧がなのはの身を裂く事は無かった。 おそるおそる目を開けると、斧を持った虎のようなライダーが…タイガが目の前にいた。 「仮面…ライダー…?」 戻る 目次へ 次へ
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機人咆哮リリカルサンダルフォン クロス元:機神咆吼デモンベイン 最終更新:08/03/02 第零話『永劫の開演』 第一話『黒天使、降臨』 第二話『憎悪の牙、殺意の爪、我は漆黒の狂嵐』 第三話『摩天楼の夜に魔性が哂う』 運命の探求 クロス元:機神咆吼デモンベイン 最終更新:08/07/03 前編 中編 後編Aパート 後編Bパート エピローグ 拍手感想レス :これから面白くなりそうですね♪つづきを期待しています!!! コメント欄です 感想や応援メッセージなどをお気軽にどうぞ(無名コメントも可能です) 教授がサンダルフォンで登場してくるのを楽しみにしてますw 執筆頑張ってください! -- 名無しさん (2008-08-22 00 00 41) リリカルサンダルフォンの続き、待っていますので、 どうかお体に気をつけて執筆頑張ってください。きっと、きっとサンダルフォンならナンバーズ相手に格好良いバトルを! -- 名無しさん (2008-11-14 21 56 48) サンダルフォンかっこいい 続きが気になります? -- 名無しさん (2009-08-27 21 45 16) 2chで話題のやつです(人・ω・)♂ http //gffz.biz/index.html -- 素人です (2011-11-30 06 15 30) 名前 コメント TOPページへ このページの先頭へ
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Reconquista(後編) ◆HlLdWe.oBM 明日香にとって先程の光景は理解しがたいものばかりだった。 突然光と突風と共に瓦礫が飛んで来て死ぬかと思ったら、フェレットのユーノが人間に変身した。 そしてユーノが目の前に緑の盾を出して、それを何とか凌ぎきった。 ここまではまだ一応明日香にも何とか理解できる範疇だった。 フェレットのユーノが人間に変身して魔法の盾で自分達を守ってくれたのだろうと思っていた。 だが次に起こった事は明日香にとって最も衝撃な事だった。 ルーテシアがユーノを刺したのだ。 「なによ、いったい!?」 明日香は必死に走りながら誰もいない森の中に疑問を投げかけていた。 ルーテシアが持っていたウィルナイフは明日香が身に付けているガオーブレスに内蔵されていたものだ。 先程の騒動の隙に引き抜かれていたのだろうが、そんな事はもうどうでも良かった。 何より明日香には分からない事があった。 それはルーテシアがユーノを刺した動機だ。 病院への道中で何とか聞き出した内容によればユーノとルーテシアは自分達に会うまでずっと二人きりで、その間は特に言うべき事はなかったらしい。 実際明日香達と出会った時のルーテシアとユーノは一緒で、それは先程までも変わらない事だった。 しかも直前にユーノは自分達の命を救ってくれたばかりだ。 そんなルーテシアにとって同行者であり恩人であるユーノを刺す理由が全く明日香には理解できなかった。 もしかしてユーノが人間になれる事を隠していたからかとも一瞬思ったが、その程度では大した理由ではないとすぐに否定した。 結局はルーテシアが答えてくれない事には何も分からないが、ルーテシアが返してきた答えは単純だった。 ――願いを叶えるためにこの地にいる全員を皆殺しにするからだ、と。 それで明日香にもルーテシアの行動の意味は一応理解できた。 最後まで生き残れば願いを叶えるとプレシアは先程の放送で宣言した。 だから魔が差してルーテシアがあんな行動を取る可能性は十分にある。 だがそれでも明日香には未だに分からない事があった。 それはルーテシアの眼だ。 (なんで、なんであんな事をしておいて、そんな目をしていられるのよ!) ルーテシアの眼はユーノを刺したにもかかわらず大して変化がなかった。 寧ろ眼というよりは表情といった方が適切かもしれない。 人を殺すと決めた顔にしては今まで明日香が見てきた顔とどこも違わない。 それが逆に恐れを生んでいた。 ルーテシアが感情を露わにして殺そうとすれば、それはどこにでもいる殺人者の姿だ。 だが無表情で何の感傷も抱いていないように淡々と行動するルーテシアは普通とは違う恐怖があった。 いつのまにか頭の中で腹を刺されたユーノが。 首を吹き飛ばされたアリサが。 天上院明日香の姿と重なっていた。 (殺される! 私も、ユーノみたいに――殺される!?) ルーテシアの凶行を見せつけられて明日香は徐々に冷静さを失っていた。 かつてエグリゴリのエージェントに対して某赤帽子の傭兵は人間の心理について次のように述べた。 『人間の冷静な判断力を失わせるには、恐怖と怒り……たった二つの感情を操作してやればいいのだよ!』 元グリーンベレーで都市における心理戦の専門家でもある彼の言う事はもっともだ。 人間とは許容範囲を超えた感情をコントロールする事を不得手とする傾向がある。 もちろん平時ではそのような事態に陥る事はほとんどないだろうが、ここでは違う。 通常なら殺し合いという異常事態の中で特別な経験を積んでいない者は混乱して当たり前だ。 平時と同様の精神でいる事など土台無理なのだ。 天上院明日香は普通の一般人とは違ってデュエリストとして死闘を潜り抜けてきた経験はある。 だがそんな経験はこの状況下では脆かった。 しかも明日香は直前まで殺し合いの場にも関わらず、そのような危険な目には一切遭わずにここまで来た。 それはつまり殺し合いという場において殺し合いとは無関係な安全な場所にいたという事だ。 それがいきなりこのような急転直下の事態に陥れば冷静な判断などできるはずなかった。 だからあの場から逃げた。 それは人間の本能に従った結果だった。 そこに冷静な判断も一人だけ逃げるという罪悪感もない。 明日香の中にあったのはルーテシアという恐怖から一刻も早く逃れたいという欲求だけだった。 それはまるで恐怖という化け物に矜持を奪われたかのようだった。 どれくらい逃げただろうか。 瓦礫が散らばる市街地を抜け、土埃が舞う平野を抜け、閑散とした林を抜け、鬱蒼と茂る森を抜け―― I-7の南端からA-7の北端にループした事にも気づかぬまま走り続けて―― 「はぁ……あぁ……はぁ……ぅ……うぁ……」 ――ようやく明日香の足が止まった。 どれくらい走り続けたのか分からなかった。 辛うじて分かった事は近くにルーテシアはいないという事だけだ。 前方に湯気が立ち上る建物が見えるが、今はどうでも良かった。 同時に今まで張り詰めていた緊張が解けて身体の力が一気に抜けた。 その影響で手からデイパックを取り落として、ようやくデイパックが3つある事に気付いた。 手数が増えればそれだけ取れる選択肢は多くなり有利になるというデュエルで言う手札的感覚で取って来たのだ。 それは無意識の内に働いた思考の結果だった。 「ん、これって……」 ふと落ちたデイパックに目を遣ると中から青い宝石が零れている事に気付いた。 明日香はそれが何なのか知っていた。 それは放送の前に皆の支給品を確認し合っていた時にユーノが説明してくれたものだった。 「ジュエルシード、でもこれを使えば……」 ロストロギア指定を受けた次元干渉型エネルギー結晶体であるジュエルシード。 持ち主の願いを叶えるが危険な代物で間違っても使ってはいけないらしい。 明日香はそれを拾い、次いでデイパックの中から取り出した夜天の書と交互に眺め始めた。 その眼には暗い影が宿っていた。 夜天の書もジュエルシードと共にユーノから説明を受けた代物であった。 「このジュエルシードの力で夜天の書を使えば、私もなのはさん達みたいに魔法を使う事が……」 明日香はふとなのは達が魔法を使っている様子を思い出していた。 あの力が自分にもあれば皆を助けられる、ルーテシアのような危険な人物にも正面から立ち向かえる。 今のままの何の力もない状態ではそのうち仲間諸共殺されるしか想像できなかった。 だから、明日香はジュエルシードを―― 【1日目 朝】 【現在地 B-7 温泉付近】 【天上院明日香@リリカル遊戯王GX】 【状態】健康、疲労(大)、チンクへの疑念、ルーテシアへの恐怖心 【装備】ガオーブレス(ウィルナイフ無し)@フェレットゾンダー出現! 【道具】支給品一式×3、ジュエルシード@魔法少女リリカルなのは、夜天の書@魔法少女リリカルなのはStrikerS、バリアのマテリア@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、トバルカインのトランプ@NANOSING、ゾナハカプセル@なのは×錬金 【思考】 基本:殺し合いには乗らない。仲間達と合流してプレシアを打倒する。 1.ジュエルシードを―― 2.ルーテシアから離れる。 3.ゾナハ……って何? 【備考】 ※転移魔法が制限されている可能性に気付きました。 ※万丈目にバクラが取り憑いている事を知りません。 ※チンクの「万丈目に襲われた」という情報は、嘘か誤りだと思っています。 ※トバルカインのトランプが武器として使える事に気付いていません。 ※ユーノの本当の姿はフェレットであり、ルーテシアに殺されたと思っています。 ※I-7からA-7にループした事に気付いていません。 ※明日香がジュエルシードをどうするかは後続の書き手にお任せします。 ▼ ▼ ▼ 人を癒すはずの病院の姿は既にそこにはなかった。 二度のエンジェル・アームの発動によって完膚なきまでに崩壊したそこにあるのは、少し前までは病院だった瓦礫の山だ。 既に病院を崩壊させた張本人であるヴァッシュは絶望の中で幽鬼のように当てもなく去って行った。 だからここにはもう生きている者など一人もいないはずだ。 しかし、そんな瓦礫の山が突如として蠢き始めた。 瓦礫の山の麓に散乱する大小様々な形の瓦礫で出来た小さな山々。 そのうちの一つが鳴動している。 微かだった振動は徐々に大きくなっていき、やがてその瓦礫の小山は崩れ去った。 その中から出てきたのは灰色のコートに身を包み右目に眼帯を付けた銀髪の少女チンクだった。 「く、は! 危ない所だった、ハードシェルが間に合って助かった」 あの時、間一髪で身に迫る危険を察知して病院の窓から飛び出した時、エンジェル・アームは放たれた。 運が良かった事にチンクが飛び出した窓は南側でエンジェル・アームが放たれた北西とは逆に位置する場所だった。 そのために直接エンジェル・アームの光に巻き込まれずに済んだ。 だが被害を回避するためにランブルデトネイターでラオウの兜と残っていた工具全てを消費してしまった。 最初に兜の大爆発で距離を作り、続けて工具の小爆発で瓦礫を破砕して、あとはシェルコートを使用してのハードシェルで耐えきった。 もともと施設の大爆発にも耐える程の高硬度を誇るものだが、ここでは制限のために耐えきる自信はなかった。 だが現実にチンクは耐えきり、こうして再び地面の上に立つ事ができる。 「これは、なんという有様だ」 病院があった場所には成れの果てである瓦礫の山ができていた。 もちろん病院内にあった死体はどれも無事な状態で残っているとは思えない。 ディエチも例外ではなく、それらの死体はもう弔う事は永久に出来ない状態になってしまった。 「……ディエチ」 チンクは在りし日のディエチの姿を思い返していた。 だが思い返せば思い返す程に懐旧の想いは募るばかりであった。 そして同時に自分の不甲斐なさも痛感するのだった。 自分がガジェットを使って不用心にあのようなメッセージを出したせいでディエチは死んでしまったと悔恨の念が絶えない。 出来る事ならプレシアが放送で言っていた褒美でディエチを生き返らせて、もう一度会いたいと思う。 クアットロやルーテシアが死んでも生き返らせればいいとさえ思える。 だが、それが正しいのかチンクには判断が付かなかった。 「なぜだろうな、ディエチ。姉は、お前がそんな事を望まないような気がしてならない」 なぜそう思うのかチンク自身にも分からない。 ただあの死に顔を見ているとなんとなくディエチは満足して死んでいったような気がしてくるのだ。 だからあのまま静かに眠らせてやった方がディエチのためにもいいのではと思える。 「姉はどうすればいいんだろうな」 そんな答えが返ってくるはずもない問い掛けを風の中にする。 幼い身体に比べて長めの銀髪を風の流れるままに任せながらチンクは静かに考えに耽っていた。 あの病院が目の前にある瓦礫の山に化したのかと感慨深げに眺めていると、瓦礫の中に何か埋もれているのを見つけた。 興味を抱いて近づいて見ると、それはボロボロになって所々罅が入った紫と黒を基調とした大剣・大百足だった。 そして近くにはその持ち主だと思われる人物、正確にはその人物の首があった。 金髪の髪の下にある顔はチンクにとって見覚えのある顔だった。 「……フェイト・T・ハラオウン。貴様も死んだのか」 これで見知った死体を見るのは三度目という事もあってか、もう特に思う事はない。 そしてしばらくしてチンクは何を思ったのか大百足を拾い上げると、その場に刺した。 まるでフェイトの墓標のように見えるが、チンクはそんなつもりで刺したのではなかった。 チンクは刺した大百足に背を向けると、ゆっくりと歩き出した。 一歩、一歩、一歩、一歩、少しずつ大百足との距離は広がっていった。 そして一度立ち止まって振り返ると、その場で回れ右の要領で大百足の方に顔を向けた。 「距離はギリギリだな」 チンクはデイパックからナイフを一つ取り出すと、いつものように構えた。 新品同様のナイフとは対照的に大百足は少しの衝撃で壊れそうな程にボロボロだった。 「もしナイフを投げて剣が壊れれば殺し合いに乗ろう。壊れなければ殺し合いには乗らない。ディエチ、お前が選べ」 チンクはそのナイフに、亡きディエチに、己の道筋を決めさせるつもりだった。 剣が壊れるか否かは……ディエチに決めてもらいたかった。 そんな事は非科学的だと分かっていてもこうするのが一番気持ちの面ですっきりすると思ったのだ。 「では、いくぞ!」 裂帛の気合と共にナイフはチンクの手を離れて大百足へと吸い寄せられるように飛んでいった。 そして勢いを落とさぬままナイフは―― 【1日目 朝】 【現在地 H-6 病院跡地】 【チンク@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 【状態】健康、疲労(中)、ディエチの死に対する悔恨 【装備】バニースーツ@魔法少女リリカルなのはStrikers-砂塵の鎖-、シェルコート@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【道具】支給品一式、料理セット@オリジナル、翠屋のシュークリーム@魔法少女リリカルなのはA s、被験者服@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【思考】 基本:姉妹と一緒に元の世界に帰る。 1.剣が壊れたら殺し合いになる、壊れなければ殺し合いに乗らない。 2.姉妹と合流した後に、レリックを持っている人間を追う。 3.姉妹に危険が及ぶ存在の排除、及び聖王の器と“聖王のゆりかご”の確保。 4.クアットロと合流し、制限の確認、出来れば首輪の解除。 5.Fの遺産とタイプ・ゼロの捕獲。 6.天上院を手駒とする。 【備考】 ※制限に気付きました。 ※高町なのは(A’s)がクローンであり、この会場にフェイトと八神はやてのクローンがいると認識しました。 ※ベルデに変身した万丈目(バクラ)を危険と認識しました。 ※大剣・大百足は後一撃加われば壊れるかギリギリの状態です。 ▼ ▼ ▼ ルーテシアが今まで無関心だったデスゲームに乗るきっかけとなったのは明日香の話だった。 病院へ向かう途中で明日香はこちらの関心を引こうと今までどこにいたかを話していた。 その中にスカリエッティのアジトが出てきたので、一つ質問をしてみた。 ――生体ポッドの中に何かあったか、と。 明日香はその質問に「何もなかった」という答えを返してきた。 その瞬間、ルーテシアの気持ちは決まった。 最初ルーテシアはアジトが自分の知っているアジトだと思っていた。 だが明日香の話に出てきたアジトにはあるはずのものがなかった。 生体ポッドの中で眠っているはずのメガーヌ・アルピーノ、ルーテシアの母親だ。 それがいないという事はつまり―― (――プレシアの言っている事は正しかった?) ルーテシアはここへ転送される前の事を思い出していた。 皆が転送された部屋に何故か一人取り残された自分。 壇上から降りて来て自分に近づいてくるプレシア。 普通に話せる所まで近づいてきたプレシアはある事実を話し始めた。 曰く、ここへ集められた人々や建物はそれぞれ別々の世界から集めたので本物はルーテシアのいた世界で元気でいると。 それからプレシアは殺し合いを円滑に進めるために皆を殺して回ってほしいと言ってきた。 ここにいるのは全て別の世界の人なので殺しても元の世界に戻れば問題ないとも付け加えていた。 それを聞いても別に何も思わなかった。 たぶん急な展開に頭が追い付いていなかったのだろう。 そのうち反応が乏しい事に気付いたプレシアが唐突に不思議な事を言った。 ――私は死んだ人でも生き返らせる事が出来るのよ、と。 そしてこちらの首にある首輪を指差すと、なぜか首輪が甲高い電子音を鳴らし始めた。 その音が耳障りになって鬱陶しいと思っていると、 ――ボン 首輪が爆発した。 自分の首が宙を舞って視界が回る様子はなぜか鮮明に映った。 そしてルーテシア・アルピーノは死んだ。 だがすぐにルーテシア・アルピーノは生き返った。 それは目の前にいたプレシアの力のおかげだと当の本人は言っていた。 そしてプレシアが続けて言った言葉は強く心に深く刻まれた。 ――最後の一人になれば母親を復活させてあげる、と。 それは青天の霹靂のような言葉だった。 思わず理由を、なぜ自分にそんな事を言うのか尋ねてみた。 プレシアは少し悲しそうな表情を顔に浮かべて呟いた。 ――似ているのよ。母親を失ったルーテシアが自分と似ている、と。 そして、その言葉を最後に私はついに会場へと転送された。 「プレシアの言っていた事は本当だった、だからあの言葉も正しい」 先程出会ったキース・レッドという男はなぜか自分を知っていた。 おそらくプレシアが言っていた別世界の自分と知り合いなのだろう。 ルーテシアはそう判断した。 あの時は無闇に相手を刺激しないように最低限の受け答えのみだったから確信はないが、あの話振りだとそうとしか考えられない。 それなら名簿に名前が二つ載っている機動六課の3人にも説明がつく。 つまり別々の世界から連れて来られているのだ。 だからゼストやナンバーズも自分の知る彼らとは違う事になる。 「だから、大丈夫」 皆殺しを目指す事にしたが、今の状態でキース・レッドに敵うと思えず、あの場は手を出さずに状況を静観する事にした。 そして状況は思わぬ方向に転がったが、それはルーテシアにとって悪くないものだった。 だから別れる時にキース・レッドとブレンヒルトに自分が転送される直前の出来事を教えておいた。 いろいろ上手い具合に生かして支給品を貰ったのでそのお返しのつもりだった。 それを聞いた二人はひどく驚いていた。 特にキース・レッドは何やら深刻そうな表情を浮かべたが、すぐに不敵な笑みを浮かべていた。 最初はプレシアの言う事が半信半疑だったのでレリックを手に入れようとしたが、もうそれに拘る事はない。 自分だけでできそうなら迷わず殺しに行くが、自分の力で敵わない相手に向かって行こうとは思わない。 自分では敵わない相手は他の人に任せればいい。 そうやってここにいる全員を殺して本当の皆のいる世界へ帰る。 それがルーテシアの新しい目的になった。 もちろんプレシアが約束を守るなら最後の一人になって母の目を覚ます事ができる。 そうすれば自分にも「心」が生まれる。 「待っていてね、母さん」 母への誓いを胸にルーテシアは先の取り決め通り北へ向かって行った。 元々スカリエッティのアジトを目指していた事もあり、一度自分の目で確かめたいと思った事が理由だった。 キース・レッドから渡された物はイフリートというモンスターの召喚マテリアだった。 元々は既に死んだ高町なのはに支給されたものだったが、もちろんキース・レッドもルーテシアもそんな事は知らない。 この道具は召喚士である自分に適しているように思われる。 差し当たっての問題は上手く扱えるかどうかだが、それはこれから考えたらいい。 一応ナイフと銃も持っているので心配はそれほどない。 「……それとキャロ・ル・ルシエ」 キャロ・ル・ルシエとエリオ・モンディアル。 自分と同じ召喚士とそのパートナー。 この二人はルーテシアの中ではある意味特別な存在になっている。 自分と同じ召喚士でありながら仲間や家族に恵まれているキャロと、その隣にいるエリオ。 (負けない、ガリューや白天王がいなくても負けない!) それは幼い時には誰もが持つ対抗心と言われるものだが、ルーテシアにはそこまで理解できていない。 だからその対抗心が某戦闘機人のせいで暗い嫉妬に変貌しつつある事にも気づいていない。 エリオ亡き今その負の感情はキャロに向いていた。 【1日目 朝】 【現在地 G-7】 【ルーテシア・アルピーノ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 【状態】健康、疲労(小)、キャロへの嫉妬 【装備】マッハキャリバー(待機状態)@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ウィルナイフ@フェレットゾンダー出現! 【道具】支給品一式、召喚マテリア(イフリート)@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、エボニー(10/10)@Devil never strikers、エボニー&アイズリー用の予備マガジン 【思考】 基本:最後の一人になって元の世界へ帰る(プレシアに母を復活させてもらう)。 1.どんな手を使っても最後の一人になる(自分では殺せない相手なら手は出さずに他の人に任せる)。 2.北へ向かい、スカリエッティのアジトへ一度行って生体ポッドの様子を確かめる。 3.一応キース・シルバーと『ベガルタ』『ガ・ボウ』を探してみる(半分どうでもいい)。 4.一応18時に地上本部へ行ってみる? 5.もしもレリック(刻印ナンバーⅪ)を見つけたら確保する。 【備考】 ※ここにいる参加者は全員自分とは違う世界から来ていると思っています。 ※プレシアの死者蘇生の力は本物だと確信しています。 ※ユーノが人間であると知りました。 ▼ ▼ ▼ 「ふふふ、なかなか便利だな。だが、使用は控えておくか」 キース・レッドはサンライトハート改の推力で山吹色のアーチを宙に描きながら川を越える事に成功していた。 最初は役に立たないと思っていた金属板は意外にも攻撃・防御・移動・回復と便利な物である事を改めて感じていた。 だが過度の使用は禁物だ。 ARMSのように何か制限が掛かっているかもしれない。 それにあまり使い過ぎるとそれだけ誰かに目撃される可能性が出てくるので、そうなれば肝心な時に対処される可能性がある。 しかも本来はキース・レッドのものではないので、本来の持ち主と出会えば最悪返り討ちになる事もある。 そのような事態を避けるためにもサンライトハート改を使うのは控えたほうが賢明だ。 普段は待機状態で回復の促進に回して、ここぞという時つまり戦況を変える時にこそ使うべきだろう。 キース・レッドは待機状態に戻した核鉄を眺めながらそんな事を考えていた。 「気掛かりはルーテシアが言っていたプレシアとの会話だ。ここにいるシルバーが私の知っているシルバーではない、か」 もしそれが本当ならここにいる必要はない。 今すぐにでも参加者を皆殺しにしてプレシアの力で元の世界へ返してもらえばいい。 もしそれが嘘なら今のまま行動しておけばいい。 先の取り決め通り中央付近でキース・シルバーと『ベガルタ』『ガ・ボウ』を探しながら18時に地上本部へ行けばいい。 つまりはどちらにせよ、これからの行動に然して変更はない。 敢えて言うならこれから新しく出会う参加者への対応だ。 開口一番にキース・シルバーと『ベガルタ』『ガ・ボウ』について知っている事を聞き出すとして、その後どうするのか。 殺すか、捜索者にするか。 役に立つなら捜索者に仕立て上げ、役に立たないなら殺す。 キース・レッドはこれを基本にしようと考えていた。 もちろんその場で臨機応変に対応した結果、最も良さそうな手を講じるが。 「シルバーよ、今度こそ貴様の身に刻んでやる。我が最強のARMS、グリフォンをな」 【1日目 朝】 【現在地 H-6 川の畔(北側)】 【キース・レッド@ARMSクロス『シルバー』】 【状態】健康 【装備】対化物戦闘用13mm拳銃ジャッカル(3/6)@NANOSING、.454カスール カスタムオートマチック(6/6)@NANOSING、核鉄「サンライトハート改」(待機状態)@なのは×錬金 【道具】支給品一式×5、ジャッカルの予備弾(18発)@NANOSING、レリック(刻印ナンバーⅦ)@魔法少女リリカルなのはStrikerS、首輪×2(神崎優衣、高町なのは(A’s))、ヴァッシュのコート@リリカルTRIGUNA s、S2U@リリカルTRIGUNA s、ランダム支給品0~2(元カレン、『ベガルタ』『ガ・ボウ』ではない) 【思考】 基本:キース・シルバー(アレックス)と戦い、自分の方が高みにある事を証明する。 1.中央に向かいシルバー(アレックス)及び『ベガルタ』『ガ・ボウ』の捜索。 2-1.出会った者にシルバーと『ベガルタ』『ガ・ボウ』について知っている事を聞き出す。 2-2.聞き出した後、役に立ちそうならシルバーと『ベガルタ』『ガ・ボウ』を探すようにさせ、役に立たないなら殺す。 3.1及び2を邪魔するものは容赦なく殲滅する。 4.できるだけ早く首輪を外したい。 【備考】 ※キース・シルバーとは「アレックス@ARMSクロス『シルバー』」の事だが、シルバーがアレックスという名前だとは知りません。 ※神崎優衣の出身世界(仮面ライダーリリカル龍騎)について大まかな説明を聞きました。 ※自身に掛けられた制限について把握しました。 ※白刃の主をヴァッシュだと思っています。 ※サンライトハート改は余程の事がない限り使う気はありません。 ※ルーテシアの話の真偽についてはどうでもいいみたいです。 ▼ ▼ ▼ 市街地から少し離れた林の中に作られた畑。 今は一面雑草だらけの場所は本来なら季節によってさまざまな食物を提供してくれる場所だ。 そんな畑の隅に寂しく建っている小屋の中に魔女と魔導師がいた。 1st-Gの魔女ブレンヒルト・シルトとミッドチルダの魔導師ユーノ・スクライアだ。 だが、どうやら現在進行形で風向きが怪しい様子だ。 「やっぱりここへ向かう途中から意識があったのね。で、気絶した振りをして年頃の女性に背負われた気分はどうなの? ふふふ、さぞかしいい気分だったでしょう……いい度胸ね」 「あ、その事に関しては、その、ごめん。だから、笑顔で拳を振り上げるのは如何なものかと」 「……怪我していなかったら腹に一発ストレート入れていたところなのよ、あの娘に感謝するのね」 「今のって笑うところなのかな」 先の取り決めでルーテシアは北へ、キース・レッドは中央へ、ブレンヒルトは南へつまりこの付近で捜索をする事になった。 あの場を凌ぐための苦肉の策だったが、余計なタイムリミットが課せられたのは失敗だった。 本来ならその場だけの嘘方便で後は適当にやり過ごすつもりだったが、これでそうもいかなくなった。 それでもユーノを連れる事は出来たので一段落付いたとブレンヒルトは自分を納得させていた。 「それより傷の具合はどうなの。見たところ、すぐに動けそうにないみたいだったけど」 「うん、今はヒーリングを掛けているから刺された直後よりはマシだよ。でも、やっぱり動くにはもう少し時間が……」 「別に良いわ。その間に聞きたい事もあるから。あなたのいた世界や魔法の事、このデスゲームの事。分からない事が多すぎるのよ。」 「それは、僕に分かる範囲なら……」 「それでいいわ。よろしくね、スクライア」 「こちらこそ、よろしく、ブレンヒルト」 ブレンヒルト・シルトとユーノ・スクライア。 この二人の邂逅は果たしてデスゲームにどのような影響を及ぼすのだろうか。 今はまだ誰にも分からない。 「そうだ、しばらくフェレットの姿になるね」 「ん、フェレットが本当の姿なの?」 「いや断じて違うから! 人間の姿が本当の僕だから! フェレットの姿の方が怪我の治りが早いんだ」 「ふーん、そうなの」 「うん、じゃあ――」 「へぇ、凄いものね。あっという間にフェレットの姿に、あ、落ち――ッ!?」 「――ッイタ!! ベ、ベッドの位置を考えていなかったなあ。ブレンヒルト、悪いけど僕をベッドの上まで上げて……あ」 今の状態を説明するとこうなる。 板張りの床にはフェレット状態のユーノが落ちていて、そこからベッドに戻してくれと上を見ながらブレンヒルトに頼んでいる。 一方のブレンヒルトは賢石の消費を抑えるためにバリアジャケットを解いて、今は制服姿でベッドの近くに立っていた。 幸か不幸か視線を上げたユーノの目に飛び込んできたのは―― 「ええ、いいわよ。 今度は落ちないようにしっかり私が持つから安心して大丈夫よ……もしかしたら力加減を間違えちゃうかもしれないけど! 下着を見られた怒りでどうにかなるとかないと思うから安心して!!」 「え、ちょ、ま、傷、傷が、あ、あ、あ、アッー!!!!!」 【1日目 朝】 【現在地 H-8 畑の隅にある小屋】 【ブレンヒルト・シルト@なのは×終わクロ】 【状態】健康、ユーノへのお仕置き中 【装備】1st-Gの賢石@なのは×終わクロ、バルディッシュ・アサルト(カートリッジ4/6)@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【道具】支給品一式、双眼鏡@仮面ライダーリリカル龍騎、首輪(矢車)、ランダム支給品0〜1 【思考】 基本:ここからの脱出。 1.スクライア、乙女の恐ろしさを知りなさい! 2.スクライアが動けるようになるのを待ちながら今後について話し合う。 3.残り15人になったら車庫の中身を確認してみる(信用できる人以外に話す気はない)。 4.キース・レッドとの約束は一応守るつもり。 5.戦闘には極力関わらない。 6.フェイトの生い立ちに若干の興味。 【備考】 ※自分とバルディッシュに共通する知人に矛盾がある事を知りました(とりあえず保留、別世界の可能性を考慮)。 ※キャロ、金髪の青年(ナイブズ、危険人物と認識)、銀髪の青年(殺生丸)の姿を遠くから確認しました。 ※車庫を無理に開けようとすれば首輪が爆発すると思っています。中身は単体で状況を変え得る強力な兵器だと思っています。 ※ルーテシアの話の真偽は保留。 【ユーノ・スクライア@L change the world after story】 【状態】魔力消費大、腹に刺し傷(ヒーリング中)、ブレンヒルトによるお仕置きタイム、フェレットに変身中 【装備】なし 【道具】なし 【思考】 基本:なのはの支えになる。ジュエルシードを回収する。 1. アッー!!!!! 2.怪我の治療をしながらブレンヒルトと今後について話し合う。 3.なんでルーテシアは僕を刺したんだろう。 4.Lや仲間との合流。 5.首輪の解除。 【備考】 ※JS事件に関連した事は何も知りません。 ※プレシアの存在に少し疑問を持っています。 ※ルーテシアがマフィアや極道の娘だと思っています。 ※ルーテシアに刺されてから小屋に着く途中まで気絶していたのでルーテシアや明日香がどうなったのか知りません。 ▼ ▼ ▼ 「ようやく動き出したのね」 薄暗い部屋の中で一人プレシアは呟いた。 空間モニターが発する仄かな光に照らされた顔には微かに笑みが浮かんでいた。 そこにはプレシアとの一件を話すルーテシアの姿が映っていた。 あの時プレシアがルーテシアに言った事は嘘ではない。 ルーテシアの母を復活させるためにレリックを捜す様子が在りし日の自分と重なったのは事実だ。 だが、そんな事はほんの些細な事でしかない。 プレシアがルーテシアを一度殺した真の理由――それはルーテシアが使役している召喚虫に他ならなかった。 ルーテシアを殺す事で一度それらの召喚虫との繋がりを断ち切って、使役主をプレシアにする事が本来の目的だ。 もしも万が一首輪と制限が解除された時のための保険、不測の事態の際の戦力にするつもりだ。 他の召喚士にキャロという少女もいたが、ルーテシアの方が持ち数の面で勝っていた。 それが決め手となった。 「さて、これからどうなるのかしらね」 プレシアは嬉しそうに画面の向こうで繰り広げられるデスゲームを観察するのだった。 その手にはルーテシアを生き返らせた道具である時間を巻き戻すカード――『タイムベント』のカードが握られていた。 ▼ ▼ ▼ 全てを失った場所でもう一度掴むものは唯一つ。 守りたかったものはもう二度と離さない。 見失わずに、振り返らずに、必ず取り戻すから。 【全体備考】 ※駅の付近(線路の先)に中身不明の車庫があります。『残り15人になるまでこの扉は決して開かない。もし無理に開けようとすればそれ相応の罰を与えようではないか』という注意書きを書いた立札が入口前に立っている。 ※H-6病院から離れた場所に壊れたガジェットドローンⅠ型が転がっています。 ※工具セットとラオウの兜はランブルデトネイターで消費されました。 【召喚マテリア(イフリート)@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使】 炎の魔人であるイフリートという召喚獣を召喚する事が出来るマテリア。 敵全体に炎でダメージを与える「地獄の火炎」という技を使う。 片翼の天使本編では同じく召喚獣のタイタンとバハムートと三匹掛かりでセフィロスに襲いかかり、秒殺された。 詳しい制限は後続の書き手にお任せします。 Back Reconquista(中編) 時系列順で読む Next せめて哀しみとともに 投下順で読む Next 渇いた叫び(前編) ブレンヒルト・シルト Next 明日に架ける橋 ユーノ・スクライア Next 明日に架ける橋 ルーテシア・アルピーノ Next Burning Dark(前編) チンク Next せめて哀しみとともに 天上院明日香 Next 湯けむり旅情!夜天の書 キース・レッド Next 誇りの系譜(前編)
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「ふぃーっ。なんだかんだ歩いてるうちに、こんなとこまで来ちゃったんだ」 潮風が茶色の髪を撫でる。なのはは臨海の公園へ来ていた。 時刻は午後5時を少し過ぎたところ。空には薄っすらとオレンジが混ざりつつある。 「海かぁ・・・・そういえば、海には色々と思い出があるかも」 魔法を知って間もない頃、ユーノと色々なことについて話し合った。 ジュエルシードを巡ってフェイトと戦い、そこへクロノが止めに割って入り、 時空管理局の存在を知ることになった。 P・T事件後、裁判のためミッドチルダに渡るフェイトに初めて名前を呼んでもらった。 数ヶ月前の出来事。闇の書の『闇』と戦い、仲間たちと協同戦線の末に消滅させた。 わずか2年足らずの間なのに、この場所にこんなに関わりがあるとは思わなかった。 静かに揺れる波を眺めながらそんなことを考えていると、 「あれ、電話だ・・・・えっと、管理局から?」 ポケットからピンク色の携帯電話を取り出し、着信相手を確認する。 いつもならば、ほとんどの連絡事項はメールで伝えられるため、 わざわざ直接の音声電話をかけてくるということは、余程の緊急事態時のようだ。 『あ、なのはちゃん!? こんな時間にごめんね。ちょっと急ぎの用を頼みたいの!』 「え、どうしたんですか?エイミィさん。そんなに慌てて」 『それがね、別次元の砂漠地帯で急に時空の歪みが発見されちゃって。 あいにく別の用件でクロノくんとフェイトちゃん、局員もほとんど出払ってて・・・・』 そこまで聞いて、なのはは理解した。つまり、自分が行く必要がある、と。 「分かりました。今のところは特に用事もありませんから、大丈夫ですよ」 『あ~りがとうっなのはちゃん!!待ってて、すぐに転送の用意するから!』 「了解。・・・・はぁ、もうそろそろ夜ご飯だったんだけどなぁ」 少し残念そうにお腹をさするなのは。 それから数十秒後、臨海の公園にいたはずの少女は、光とともに姿を消した。 「・・・・ぅ、暑っちぃ・・・・」 四方八方から、刺すような熱を感じる。 わずかに手を動かすと、『ジャリッ』とした乾いた感触が神経に障る。 今まで感じたことのない暑さと手の感覚に、否応なく意識を引き戻された。 ゆっくりとイッキは身を起こし、周りを見渡す。そこは、 「な・・・・何だよ、ここ?」 どこまでも同じ光景が広がっていた。 テレビや学校の教科書などでしか見たことのなかった、ベージュ一色の大地。 人はおろか、動植物一つの気配すらも感じられない。周囲360度の砂漠だった。 その360度の中に―― 「メ、タビー?・・・・メタビー!!」 明銅色の相棒が、うつ伏せになって倒れていた。 「メタビー起きろ!俺たち大変なことになっちまっ・・・・」 急いでメタビーを仰向けにしたイッキは、そこで言葉を失った。 メタビーの目には、光が灯っていなかった。 まるで『人形』のように。 「おい、起きろよ・・・・下手な冗談やっても面白くねぇぞ・・・・」 軽く揺さぶりながら声をかけるが、横たわる相棒から返事はない。 「くそっ!起きろってば!!おい、メタビー!!」 今度は乱暴に揺さぶってみる。しかし、やはり返事が返ってくることはなかった。 「おいっ!!!――くそ、どうしちまったんだよ・・・・」 やがて動きを止め、力なく腰を落とすイッキ。 「・・・・とにかく、ここから動かないと」 しばらくしてから気を取り直し、移動するべく立ち上がる。が、 「痛っ」 全身から鈍痛を感じ、再び地に腰を落としてしまった。 なんで?どうしてこんなに体中が痛いんだ? あ。そうだ・・・ 「感電して、爆発に巻き込まれたんだっけ・・・?」 今になって初めて気付いたことに自分でも驚いてしまう。 そういえば、錯乱状態になったメタビーが反応弾を撃ったのを見たような気が。 そいつが運悪く電撃で引火して、派手な地上花火を打ち上げたのだろう。 これじゃ泣きっ面にハチだ、などと心の中で嘆くイッキ。 ゴゴゴゴゴゴ・・・・ 「・・・・っ?」 鈍く響く音がする。嫌な予感がしたイッキは、ぐるりと周囲を見回した。 しかし、ベージュ色の景色には何ら変化はない。と、突然―― ギ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ア ! ! 砂を舞い上げ、巨大な生物が奇声をあげて地面から飛び出してきた。 『ミミズを1000倍くらい凶悪にした』といった感じ(?)のワーム状の怪物。 そのスーパーミミズ(仮)は、 「うわっ!!」 牙を剥き出しにしながら真っすぐ獲物へ向かって飛びかかった。 とっさにメタビーを抱きかかえ、ダイビングで間一髪回避するイッキ。 が、慣れないことをしたのがマズかった。 したたかに体を地面に打ちつけ、起き上がるまでに大きなスキができてしまう。 そこへ『待ってました』とばかりに触手を伸ばすスーパーミミズ(仮)。 「うあぁぁぁ!」 無意識にメタビーをかばうようにうずくまり、イッキは固く目を閉じた。 『Protection』 妙に機械的な音声が聞こえた。あれ、天使の声って意外と素っ気無いんだな・・・・ 死を覚悟していたイッキはそんなことを考えた。と、 グ ゥ ゥ ゥ ゥ ア ゥ ? スーパーミミズ(仮)の困惑したような鳴き声が聞こえる。見上げてみると、 「な、何だ・・・・これ」 自分の周りを半透明のドームが覆っている。ほのかに桜色のバリア状のものだ。 「ふぅ~、間に合ったぁ」 場違いな女の子の声が響く。 夢だと思った。いや、夢だと思いたかった。 イッキは、その光景を現実のものと受け入れることができなかった。 白い服を着た、自分と同い年くらいの女の子が、空に浮かんでいる。 「は?」 おめでとう少年よ。君はまだ正常な意識を保っているようだ。いやそうではなく、 「そこのキミ!危ないから、その中でじっとしててね!」 まだ幼いながらも緊張感を伴った声で、女の子が言った。 「え・・・・あ、うん」 めくるめく『意味不明』の連続でワケが分からないイッキは生返事をするしかない。 「とにかく、アレを倒すか撃退しないと。レイジングハート!」 『All right. Accel shooter』 レイジングハートの先端付近に、5,6個の魔力弾が形成される。 「あのウネウネはちょっと厄介だからね、まずはそれを・・・・ アクセルシューター、シ ュ ー ト ! ! 」 合図と同時に、魔力弾はスーパーミミズ(仮)へ向けて一斉に突撃。 そのまま加速し、体側面から生えている触手を片っ端から薙ぎ払っていく。 ギ ア ア ァ ァ ア ! ! 自分の手足(?)を断絶され、さすがの怪物も悲鳴をあげた。 怒り心頭で、なのはにボディアタックを敢行する。が、 『Accel Fin』 「おっとぉ、危ない危ない!」 両足で思いきり空を蹴り、難なく攻撃をかわすなのは。 『Buster mode』 音叉状の砲撃重視型にレイジングハートを変化させ、カートリッジ2発をロード。 魔方陣を展開し、怪物へ照準を合わせようとした、その時―― ギ ァ ァ ァ ァ ァ ア ア ! ! 突如として、もう一匹の巨大ミミズが砂の中から姿を現した。 「ふええぇ!まだいたの~!?」 ミミズ第2号の出現になのはは驚くが、 よくよく考えてみれば、『1匹しかいない』などと誰も言っていないわけで。 その2号は近くにいたイッキに気付き、結界へ触手攻撃を始める。 「うわっ、何だよコイツ!」 「マズいっ・・・・!」 数発のアクセルシューターで2匹目を牽制し、結界から引き離す。が、 その間に1匹目が再びなのはへ攻撃を仕掛ける。 上空に逃げれば2匹同時に攻撃できるが、 その間に怪物の攻撃対象は要救助者に移り、結界を破られる可能性が高い。 かと言って、それを破られないように近づいて戦えば、 2匹同時に相手をするのが難しくなる。 二つの苦しい選択肢のうち、なのはは後者を選んだ。 無論、2体の攻撃をかわしながら要救助者を守るため、苦戦するのは言うまでもない。 「うぅっ、一体どうすれば・・・・」 打開策を見出せず、なのはは歯噛みする。 「・・・・どうすればいいんだよ」 目の前で謎の少女が2匹の怪物相手に苦戦している。自分を守るためにだ。 さっきからわけが分からないが、良い状況でないことだけははっきりしている。 そんなときに自分は何ができる? 何もできない、見ているだけ。 「くっそぉ、何かできないのかよ!?」 何もできない苛立ちが募るイッキの視線の端に、相棒が映る。 (せめてコイツが動けば、何かできるかもしれないのに・・・・!) 最後の望みをかけて、イッキはもう一度メタビーを揺さぶる。 体のオーケストラが鈍痛曲を演奏し始めるが、そんなの気にしていられない。 「おい、メタビー!よく分かんねぇけど今大変なことになってんだぞ! 起きろ!!」 しかし、やはりメタビーから反応はなかった。 その間にも、なのははミミズ1号2号に苦戦を強いられている。 イッキの心に激しい無力感と苛立ちが煮え返った。 「くそっ、こんな大事にときに・・・・なんでお前は寝てんだよ・・・・」 無力感と、物言わぬ相棒への憤りは沸々と温度を上げる。そして、 「くっそぉおおー!! 動 け よ っ ! こ の ポ ン コ ツ メ ダ ロ ッ ト ぉ ! !」 臨界温度に達した―― 「――何 だ と ぉ ー ー ! ! やいイッキ!お前またオレをポンコツ呼ばわりしやがったな!?」 突如、ブラックアウトしていたモニターに緑色の双眸が灯り、 メタビーは起き抜け一番、イッキに向かって声を張り上げた。 「メタビー!起きたんだな/ジャキッ!」 イッキの目の前に、鈍く光る黒い筒が突きつけられた。 「って危ねぇからリボルバー向けんな!話は後だ、後ろを見てみろよ!」 「うるせぇ話を反ら・・・・のわー!何じゃこりゃ~!!?」 絶叫するメタビー。 まぁでっかいミミズが2匹もいれば驚くのが普通なわけで。 「こいつらとあの白い服の子が戦ってる。あの子を援護するんだ!!」 イッキは空に浮かぶ少女に視線を向ける。 「誰だあれ?それに、何で飛んでんの?」 「俺にも分からん!」ドガシャッ 言い切った。盛大にコケるメタビー。 「何だよそれは!」 要するに横の相棒も状況を飲み込めていないらしい。 声が聞こえた。 「え?あれは・・・・」 見ると、要救助者の少年が結界内から出てしまっている。 「ちょっとキミ!!出たら危な――」 「サブマシンガン!!」 「お り ゃ あ あ ぁ あ あ ! ! !」 ズガガガガガガガッ! 弾丸の嵐。予期せぬ攻撃に巨体のミミズがわずかに動きを止める。 「おい!えーと・・・・そこの人! 俺たちが援護する。そのスキにこいつらを何とかしてくれ!!」 「・・・・え?え?」 援護する、と突然言われても・・・・となのはは思ったが、 「ん~とぉ・・・分かった、でも!ムチャなことはしないでねっ」 先ほどの射撃を見る限り、多少の援護は期待できると判断したのだろう、 「レイジングハート、バスターで一気に片付けるよ」 『All right』 空を蹴って上昇し、魔方陣を展開する。 「キミ!デカいのやっちゃうから離れて!」 杖の先端に魔力を充填しながら、少年へ叫ぶ。 「で、デカいの??」 見る見るうちに膨れ上がる魔力の塊。なるほど、確かにデカそうだ。 「メタビー!あいつらに反応弾、全部ぶつけるんだ。それから緊急退避!!」 「簡単に言うなよ~!」 ありったけのミサイルをミミズの足元に発射し、急いで退避行動をとるメタビー。 イッキはというと、指示を出しながらすでに走り出していた。 「退避を確認。よぉし、全力全開っ・・・は危ないから出力60%でいくよ!!」 『Alright. Output control 60%』 反応弾の爆煙で視界を塞がれキョロキョロしているミミズ2匹は、 「ディバイィィン・・・バ ス タ ぁ ー ー ! ! !」『Extension』 情け無用の一撃――桜色の巨大な光に飲み込まれた。 「・・・・よく分かんないけどぶっ飛ばしすぎだろ・・・・」 「あれ、ホントに女の子か?人間技じゃないな・・・・」 戻る 目次へ 次へ
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リリカル剣(ブレイド) クロス元:仮面ライダー剣 最終更新 08/02/21 第0話 突然の出会い 第1話 魔導士とライダー 第2話 魔法のある世界 TOPページへ このページの先頭へ
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リリカル・パニック クロス元:フルメタル・パニック! 最終更新:07/10/14 プロローグ 第一話「昼と夜」 第二話「激突」 第三話「混戦」 第四話「懸念」 第五話「邂逅」 第六話「宿命」 第七話「追うものと追われるもの」 第八話「第二ラウンド」 第九話「傭兵VS魔導師」 第十話「嵐」 第十一話 「潜伏再開」 第十二話「疑念」 第十三話「悪あがき」 TOPページへ このページの先頭へ
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仮面ライダーリリカル電王sts第七話 「時と過去」 その職員はその日、ミッドチルダ北部臨海第八空港火災の現場に居た。 「酷いな…」 大規模な空港火災。 原因はロストロギアの暴走。 内部には要救助者、それも幼い少女が二名。 しかし救助しようにも炎の勢いが強すぎる。その為現状の我々では不可能。 最悪の状況だが、希望はある。二人の魔導師。片や、管理局最強のエースオブエースの称号を持つ、高町なのは二等空尉。 そして、もう一人のエース、フェイト・T・ハラオウン執務官。 二つの希望に全てを賭けていた。 「隊長!要救助者二名、救助完了したそうです。」 「そうか…、良かった」 管制を担当している、部下が報告をしてきた時は、ほっとした。 これから起きる、不運を誰も知らぬまま…。 「グゥッ、アァ」 「隊長!どうされ…、あ、アアァッ…、ば、化物!?」 「ここかぁ」 隊長は突然、苦しみだした、部下が近寄るとそこには、サイのようなイマジン、ライノイマジン改の姿があった。ライノイマジンは辺りを見回すと、呟いた。 「損傷が酷いが、まぁいい。全て、壊してやるよぉ!」 ライノイマジン改は、暴れまわり、次々と周囲の物を破壊した。 「クソォ、くらえ!」 「何だこりゃ?痒くもねぇ」 駆けつけた武装局員が攻撃するが全く効いていない。 「て、撤退!撤退ぃ!」 「逃がすかよ!」 そう言うとライノイマジン改は左手のハンマーを構えた。すると、ハンマーが変形し、ミサイルランチャーへとなったのだ。 「し、質量兵器…」 「死ねぇぇ!」 ライノイマジン改は叫びと共に、ミサイルランチャーのトリガーを引き、10発ほどのミサイルを放ったのだった。 「ギャアァァァ!」 そう叫び、炎に包まれていく武装局員。 しばらく、眺めていて気付く、自分が殺すターゲットの一人、高町なのはの姿があることを。 「丁度いい、死ねぇ!」 そう言い、腰に装着されたホルスターから、『S W M19コンバットマグナム』を抜き、放った。 しかし、放たれたマグナム弾はなのはに届くことはなかった。何故なら、突然現れた、赤き時の列車、デンライナーに弾かれたからである。 「畜生ぉ!またかよ」 「これ以上は許さない」 デンライナーから降り立った良太郎はベルトを腰に装着し、ライダーパスを構え、言い放った。 「変身!」 そう言うと、ライダーパスをベルトにセタッチさせた。すると、良太郎の身体を黒いアーマーが包んだ。『電王プラットフォーム』つまり、基本形態だ。電王は、ケータロスを取り出し、ベルトに装着した。 すると、上空から金色のレールが現れ、その上を通り、各フォームのデンカメンが装着された剣『デンカメンソード』が電王の元へと送られた。電王はそれを掴むと、ライダーパスを挿入、金色のレールの上に立った。 すると後ろから、デンライナーゴウカを模した、オーラライナーが電王へと接近、接触すると、電王の身体に『ライナーブレスト』と言う装甲とデンカメンが装着され、デンカメンの上にデンギャザーと言うパンタグラフが展開された。 『電王ライナーフォーム』良太郎のオーラを身に纏った姿である。 「死ねやぁ!」 そう言って、マグナムとミサイルを乱射するライノイマジン改。電王は防ぎきれず、物陰に飛び込んだ。 「どうしよう…、このままじゃ」 「何、やってやがんだ。あんなもん、ぶっ壊しゃいいんだよ!」 「え、す、スバルちゃん」 本来は、モモタロスの声が聞こえるはずなのだが何故かスバルの声がした。 「何、驚いてやがる。俺達が憑いたまんまなだけだろうが。」 「え、じゃあ他の皆も?」 「あぁ。オマケに竜の奴は、ティアナって奴に憑いたんだとよ」 「えぇぇ!?」 「何、よそ見してんだぁ!」 「わっ!」 イライラしていたライノイマジン改はハンマーを叩きつけ、電王はデンカメンソードで防いだ。そして、切り返すと、右手のマグナムを弾いた。 「こ、コレなら!」 電王はデンカメンソードを両手で構え直した。 「ふざけんなぁ!」 そう言って、連射されるミサイル。電王はデンカメンソードを盾代わりに接近して切りつけた。 「グォワァ」 「え、えと。」 今回ばかりは運が味方したらしく、発射直前のミサイルにソードが直撃、ミサイルが爆発ライノイマジン改は吹き飛ばされ、電王は、一瞬キョトンとした。 「良太郎ぉ!今だ、決めろぉ!」 「う、うん」 そう言うと、電王はデンカメンソードのレバーを目一杯引いた。 すると、「ウラロッド」「キンアックス」「リュウガン」「モモソード」の順に電子音声が鳴り響いたのだった。 そして、現れた金色のレールの上に乗ると、後ろから、デンライナーゴウカ、イスルギ、レッコウ、イカヅチを模した、オーラライナーが現れ、それと共にライノイマジン改へと突撃する技『フルスロットルブレイク』を放ったのである。 「で、電車斬りぃ!」 「ヌワァァァ!」 そして、ライノイマジン改を貫き、倒したのだった。 「へぇ、そんなことがあったんだ」 ここは、機動6課隊舎にある食堂。良太郎は過去に跳んだ時に起こったことをなのは、フェイト、はやて、シグナムに話していた。 「それは、今まで戦って来たイマジンと違うところがあるらしいが、どんな所だ」 「えっと、何か無理矢理、強くなったという感じかな」 シグナムが質問すると、良太郎はそう答えた。 「つまり、改造とかをされとるんやな」 「そうなるかな?僕もよくわからないんだ」 「これからはもっと気をつけないとね」 はやてとフェイトはそう言うと少し考え込んでいた。そこにシャーリーがやってきた。 「良太郎さん、ちょっとお願いしても良いですか?」 「えと、何ですか」 「ちょっと、電王の戦闘データがとりたいんですけど良いですか?」 「えっと良いですけど、どうして?」 「今後のイマジンとの戦闘に役立てたいんです。」 「わ、分かりました。けど、どうやって?」 「なのはさんと模擬戦をしてもらいます。なるべく良いデータがとりたいし、今まで接近戦しか見てませんから」 「でも、もし」 「あ、怪我とかの心配はありません。オーナーさんの許可を取って非殺傷設定にしてありますから」 「そう、ですか…。じゃあ」 「その勝負、僕にやらせて!」 「てぃ、ティアナ!」 「リュウタロス!」 そこには真っ直ぐになのはを睨むRティアナの姿があった。 「リュウタロス?」 「どうやらティアナもスバル達と同じらしいの」 フェイトが驚き呟くとハナが答えた。その間にも、Rティアナは近づいて来た。そして、良太郎へと憑くと、なのはを指差し、言い放った。 「お前、気に入らない!お前は、ティアナお姉ちゃんに酷いことをした、だから許さない!」 「え、えぇ!」 なのはは狼狽えた。よく意味が解らないからだ。 「お姉ちゃんを動けなくして、酷いことをした、お姉ちゃんを泣かせた。だから、僕は、お前が気に入らない!」 誰もが驚いた。ティアナ自身、心当たりはあるがリュウタロスが知っているはずはない。 しかし、ウラタロスは何か分かったらしくエリオに憑くと仮説を述べた。 「もしかして、リュウタロスだけ、過去に跳んだんじゃ」 「え、どういうこと?」 「僕とキンタロスは先輩が飛び出したあとすぐに追いかけたんだ。なのに、ここに着くまで、時間がずれているんだ」 「つまり、擦れ?」 「そう、跳んだ時間に擦れが生じて、リュウタロスは過去に跳んだんだ」 「そうだよ、僕が跳んだ時、ティアナお姉ちゃんは一生懸命練習してたんだ」 「じゃあ、あの時の光が…」 ティアナが思い出したのは、自らが行なった、練習の時、ターゲットに混ざり、自らにぶつかった紫の光であった。 「うん、その後、皆が来るまでティアナお姉ちゃんの奥にいたけど起こったことは全部知ってるよ」 「でも、あれは…」 「それでも許せないもん」 「えっとじゃあ、訓練用のフィールドに」 「分かった!」 「う、うん…」 二人は、訓練用のフィールドへと向かった。R良太郎はベルトを握りしめ、なのはは、少し、困惑気味に。 訓練用のフィールドに着くと、なのははレイジングハートを、R良太郎は、ベルトを巻くとスイッチを押し、ライダーパスを構えた。 「変身!」 「レイジングハートセェェットアップ!」 バリアジャケットを装着し、レイジングハートを構えるなのはと電王となり、デンガッシャーガンモードを構える、R良太郎。 なのはは電王に言った。 「確かにティアナにあんなことはしたけど私は!」 「僕はお前が気に入らない。お前、倒すけどいい?」 「少し、話しを聞いて!あれは!」 「答えは聞いてない」 そう言い放ちエネルギー弾を放つ電王。 それを受けた時、なのはの眼は変わった。 「何で、話を聞いてくれないのかな…。なのに、自分はワガママしほうだいなんておかしいよね…。私の言ってることそんなに間違ってる?」 「知らないよ、そんなの」 「少し、頭冷やそうか…」 そのなのはの様子を見てMスバルは呟いた。 「こ、怖えぇ」 「何か、言った?」 なのはは聞こえたのか笑顔(眼は笑ってない)で言った。 「い、いえ、何にも言ってせん!!」 何故か怯えながら答えるMスバルであった。 次回予告 シャーリー「ただいま、模擬戦が行われております。現場のスバルさん」 スバル「はい、こちら現場のスバルです。見て下さい、現場は一触即発の状態です。まさに危険地帯です!」 シャーリー「様子を詳しく教えて下さい!」 スバル「両者は全く退かず、見ているこちらにも恐怖が感じられていま」 なのは「スバル?何やっているのかなぁ?誰が怖いって?(満面の笑み)」 スバル「いや、何でも…」 なのは「少し、頭冷やそうか…」 スバル「イヤァァ!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさ、キャアァァ!」 シャーリー「どうしたんですかスバルさん!スバルさん!何かあったんですか?」 スバル「イヤァァ!」 シャーリー「何かあった模様です。えぇ、次回仮面ライダーリリカル電王sts第八話「白き魔王と紫の狂人」お、お楽しみに!」 なのは「シャァーリィー!」 シャーリー「ひ、ヒィ助けてぇ!」 戻る 目次へ 次へ
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ウイングロードで突っ走った先にあるのは、狙撃型オートスフィア。 遠くからさんざ撃たれまくったけれど、 ティアの幻術が道を拓いて、やっとあたしの射程内。 半年に一度のBランク昇格試験、ここで落とせば、また半年後。 あたしだけじゃない、ティアの夢が、こんなところでつまづくのなら。 足をくじいたティアを放って、あたしだけがゴールするくらいなら。 そんな未来は、握った拳でぶち砕く。 あの日、あの時、あの人が、あたしにそうしてくれたように。 そして、もう二度と、守れないことのないように。 神 聖 破 撃 ディバイン・バスター 魔力球、形成! 振り抜く右のリボルバーナックルで殴打、衝撃波、発生! 敵の攻撃全部はね飛ばし、無理矢理に隙をこじ開ける。 分厚い天井をぶち抜いて生きる道を創ってくれた、あの人の魔法。 間髪入れずにウイングロード、展開! ローラーブーツ、最大加速! 作った道は、あたし自身で駆け上って、極めるんだ! 右の振り抜きざま、左の素拳に込められた力は、 踏み出した足と同時に、真正面の『未来』にめり込む。 「 因 果 (いんが)!」 あの日の空に 見つけた憧れ あたしは あたしの なりたいあたしに なる ! 魔法少女リリカルなのはStrikerS 因果 第九話『二人(前編)』 「因果だってよ、覚悟くん」 「否、あれはディバインバスターなり」 照れなくてもいいのに。 少し嬉しそうで、少し哀しそうな顔をしている覚悟くん。 やっぱり、一度は生命を助けた子だから、 わざわざ戦いの場に戻ってくるのを止めたい本音もやっぱりあって。 でも、あのとき、あの子を助けた魔法の名前を受け継いで、 誰かを助ける仕事を望んでくれた…伝わる思いも、うれしくて。 また映像に目を移したら、ティアナちゃんを背負ったスバルちゃんが、 制限時間ぎりぎり、全速力でゴールに突っ込んでくるところ。 合格は間違いなしだった。 満点はあげられないけど、見せてくれた奮戦と結果は、納得するには充分すぎる。 そんな、感激の目で見ていたから、あやうく気づかないところだったけど。 「危険だ」 「…まずいね」 ヘリから一緒に飛び降りた。 このままじゃ二人とも、ゴールの先にある瓦礫に正面衝突だから。 最後の最後でこんなミス…危険行為の減点は大きいけれど、 今はそんなこと、気にしている場合じゃない。 覚悟くんは覚悟くんらしく、正面から二人を受け止めきるつもりみたい。 だったらわたしはその後ろからアクティブガードで、さらにやさしく受け止める。 誰も痛くないように…そう、思っていたんだけど。 スバルちゃんのとった行動は、覚悟くんの予想も、わたしの予想も超えていたんだ。 わたし達が受け止める体勢をとるよりも前に、スバルちゃんは、ティアナちゃんをお姫様抱っこして。 …自分で、仰向けに転んだんだ。 「んんうううぅぅぅぅぅぅッ!」 歯をくいしばりながら、背中でアスファルトを滑ってゴールを通過。 ティアナを上に載せたまま、平手を地面についてブレーキ。 わたしと覚悟くんよりはるかに前の地点で、速度を完璧に殺して止まった。 正直、言葉もなかったよ。 だって… 「…ゴール、だよ、ティア」 「っの馬鹿ぁ!」 バリアジャケットの上着は摩耗しきって消滅して、 肩とか背中とか、こすった後が一直線に赤く残ってる…地面に。 痛い、痛いよ。 これは痛い、見てるだけで。 「なんてこと、なんてことしてんのよ! あんた…あんた、正気ぃ?」 泣きそうな顔で胸ぐらを掴み上げてるティアナちゃんに、 スバルちゃんは少し笑って答えてた。 血みどろの背中に、全然気づいてないみたいに。 「その…ティアが、足、怪我してるから。 これで、公平かなって…」 「馬鹿言ってんじゃないわよ、なにが公平よぉ」 「それより、間に合ったよ、制限時間内に、ゴールできたみたい」 「んなの、どうでもいいわよっ、いくら、あんたが…」 覚悟くんが近づく。 わたしも近づく。 二人とも、それに気がついて、こっちを見た。 試験の結果は、今は二の次。 言ってあげなくちゃいけないことができたけど、 それは覚悟くんがやってくれそうだったんで、わたしは止まって待っている。 少しぼんやりした顔のスバルちゃんの正面に立つと、覚悟くんは。 「馬鹿者! 己が身を大事にせよ!」 開口一番で怒鳴りつけてくれた。 思わずきつく目を閉じるスバルちゃんに、かまわず続けていく。 「父と母より受け継ぎし玉身(からだ)。 昇格試験ごときで、粗末に扱ってはならぬ」 「…ごとき、じゃ、ないです」 だけど、ここでまた。 「ティアの夢が、かかっているんです。 ここでダメにしちゃったら、また半年先になるから。 半年も遅れちゃうから、だから…」 スバルちゃんは、明確に反論してきたんだ。 この試験には、これだけのケガをわざわざしてまで受かる意味があるって。 それは友達の夢を守ることなんだ、って。 そう聞かされた覚悟くんは、少し、むずかしい顔をしてから。 「その意気やよし」 「…わっ?」 「よくぞ、これほどになってまで守り抜いた」 脱いだ機動六課のジャケットを、スバルちゃんの背に放り投げるようにかけた。 当然だけど、覆い隠された傷口の部分から、すぐに血で汚れていく。 「だが、できるだけ自ら傷を負うことは避けよ。 おまえの友も喜ばぬ」 目配せされたティアナちゃんも、一瞬遅れて弱々しくうなずいた。 覚悟くんは満足するようにここから立ち去ろうとして、 その背中をまた呼び止められる。 「あ、あのっ、これ、上着」 「医務室で処置を受けて後、返しに来るがいい」 「でも、血で…」 「おれもあの時、きみの服をおれの血で汚したはず。 これにて公平!」 「…………」 あとは覚悟くん、振り返りもしなかった。 これからは、守るべき誰かじゃない。 一緒に戦っていく後輩になる。 覚悟くんに言わせてみれば、スバルちゃんは生命の恩人で。 スバルちゃんがいなければ、火事の中、一人で力尽きていて。 そんな子を戦わせるのはやっぱり嫌って本音は、きっと、どうにもならない。 でも、そんな覚悟くんだから、わたしはすっごく期待してる。 絶対に死なせたくなくて、その上、スバルちゃんの戦う意志が揺るがないなら。 覚悟くんは、スバルちゃんにティアナちゃん、それとまだ来ていない二人にも、 育てるために全身全霊を尽くしてくれる。 これは確信かな。 その後、試験が終わった二人に、すぐ機動六課の話を持ちかけた。 二人が出会った、あの怪人の背後関係を今は追っているって説明した。 だから多分、他よりも、ずっと危険で血なまぐさい仕事を請け負うことになるよ、って。 断りたければ、断ってもいい。 二人にはその権利があるから、って。 …答えはね、ふたつ返事だったよ。 これからよろしくね。 スバル、ティア。 わたしも、二人を絶対、死なせたりしないから。 スバル・ナカジマ、およびティアナ・ランスター。 この二名は良し。 だが、もう二名はどうか? エリオ・モンディアル、およびキャロ・ル・ルシエ。 魔導の素質すぐれたるフェイトの養子二人。 スバルとティアナが今回の試験にて勝ち取った陸士Bランクを、 エリオなる少年、すでに保有しているも、それだけでは信用できぬ。 精神(こころ)伴わぬ戦闘力は危うき候。 たとえるならば、嵐に揺らるるいかだの上、樽に詰まったニトログリセリンに同じ。 保有する大破壊力、正しく扱えねば自らを滅ぼす。 これ父、朧(おぼろ)の教えなり。 ゆえにおれは問わねばならぬ。 両名の、戦士としての了見を。 別にフェイトを信じぬわけではないが、こればかりは拳を突き合わせねばわかるまい。 両名を機動六課官舎に呼びつけて早々、おれは模擬戦を申し込んだ。 むろん、フェイトが立ち会う。 養子二人がこれより志望するは、殺意うずまく戦場なれば、 むざむざ死にに行かせるを承知するわけもなし。 ただ、これだけを言って、この模擬戦を許したのだ。 「私は信じてるよ。 二人の持ってる、ゆずれないもの」 「その言葉、覚えたぞ」 模擬戦場には、基礎的に廃墟を設定。 高速道路跡上にて、おれと両名は向かい合っている。 紅の少年と、桃色の少女。 まだ年端もいかぬ子供… とはいえ、おれとて十歳にして零式鉄球をこの身に埋め込んでいるのだ。 そして、さらには。 あの高町なのはも、フェイト・テスタロッサ・ハラウオンも… はやてまで、十歳に届かずして実戦に身を投じているという。 すなわち、身体未成熟であろうが、面影に幼さ残っていようが、あそこにあるは未知の敵。 いささかなりとも、あなどる気は無し! 「正調零式防衛術(せいちょう ぜろしきぼうえいじゅつ)、葉隠覚悟…参る!」 「…エリオ・モンディアルと、ストラーダ!」 「う、あ、あの…」 紅の少年、エリオは槍を掲げて返礼したが、 少女は気後れしきって何も言わぬ。 早くも底が知れたか? そのようなわけはあるまい。 「名乗れ! 戦う前から気迫に呑まれてどうする!」 一喝。 これでひるんでしまうならば、戦場に立つ資格なし。 だがそこで、傍らにいたエリオ、少女の背を軽く叩き、 振り向く少女に目を合わせ…うなずく。 そして再び、槍をこちらに構え、突き出す。 宣戦布告、確かに見たり。 少女もまた、気合いを入れ直し、今度こそ名乗った。 「召喚師、キャロ・ル・ルシエ! フリードリヒと、ケリュケイオン!」 エリオから多少の力をもらったか。 それも良し。 少女、キャロの背に隠れていた竜、フリードリヒも姿を現わし、開幕準備完了。 「…来い!」 戦士の礼にて、相手つかまつる! 前へ 目次へ 次へ
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ViVidあとがき さて3巻です。 内容的には陸戦試合の決着とインターミドル編開始までですかね。 戦っているメンバーをさておけば、アルピーノ親子の出番が多めでしょうか。(やっぱりスポーツ漫画には解説&進行役が大事!) 連載中は、「なのはやティアナたちの戦いが楽しい!」というメッセージを沢山いただけたりしました。 あと「エリオのフェイトに対する脱衣攻撃はわざとだと思います」とかも。 ソンナコトハアリマセンヨ。 そして次巻からいよいよ始まるインターミドル編。 連載ではメンバーも続々揃っていって、すでに大会が始まっていたりします。 ※ちなみにインターミドル参戦新キャラ陣は、リオ・コロナに続いてほぼ全て藤真先生のデザインです。みんなかわいこちゃんです。 ヴィヴィオもアインハルトもリオ コロナも、ライバル達に負けないよう頑張っていきますので、次巻もよろしくお願いします! ハリーの仲間達、名前を呼ぶ機会がなかなかないので露出しませんが、実は3人とも名前が決まっています。 サングラスの子…ルカ 長髪長身の子…ミア マスクの子…リンダ 本来名無しっ子達の予定でしたが、名前をつけたのは藤真先生のデザインが予想外に可愛く、 「グラサン」「長身」「マスク」と脚本に表記しつづけるのが辛くなったから。(そして出番も増えました) せっかく名前がついたので、そのうちなにげなーく呼ばれる事もあるかと思います。お楽しみに(?) ViVidの小冊子のあとがき 決まってから長かったのですが、ついに3巻の限定版が発売になりました!(パチパチ) 今回の限定版はヴィヴィオのねんぷちに加えて特別小冊子が付いてくるということで 今まで雑誌の方で描いてきたキャラクターファイル、それぞれの家族を描いたフルカラーイラスト そして描き下ろしでViVidに出てきた女性キャラ限定での水着集合イラストとを全力全開で収録させて頂きました! 漫画を描いている時からViVidは登場キャラが多いなぁとは思っていたのですが、改めて描いてみたらなんと総勢42名(^^: 自分で描くと決めておきながら、リストアップした人数を見て一瞬気が遠くなりました(汗) どのキャラも愛着があり、期待もあり大切なキャラ達なので1人1人精一杯描かせて頂きました、喜んで頂けたら嬉しいです! みなさんは全員の名前言えるでしょうか、ぜひ挑戦してみてくださいね! 藤真拓哉 42名の内訳 なのは、フェイト、はやて、ヴィヴィオ、アインハルト、リオ、コロナ、ノーヴェ、スバル、キャロ ティアナ、ルーテシア、ミウラ、シグナム、ヴィータ、シャマル、チンク、ウェンディ、オットー、セイン、 ディード、クワットロ、ギンガ、ディエチ、リインⅡ、アギト、シャーリー、シャッハ、メガーヌ、カリム、 クイント、美由紀、桃子、シャンテ、ハリー、ヴィクトーリア、ジークリンデ、ルカ、ミア、リンダ、イクスヴェリア、オリヴィエ。
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余裕 「彼」が立っていたのは森の中。 夜の冷たい風が吹きぬけ、がさがさと葉がこすれあう風景は、これから始まる狂気の殺人ゲームの空気を的確に表現する。 しかしながら、「彼」はその場に似つかわしくないほど、ひどく落ち着いていた。 「…ひとまず、支給品とやらを調べてみるか」 「彼」――セフィロスは、持っていたデイバッグをどんと地面に置くと、その中身を調べ始めた。 目の前で唐突に命を奪われた、金髪の少女と鎧の男。 明らかに異常な光景だったが、それは彼の心を震わせるには至らない。 何故なら、当にセフィロスは殺しまくっていたから。 軍人だから、というわけではない。 確かにソルジャークラス1stという栄光は、彼が斬り伏せた数多の人間の血によって塗り固められたものである。 しかし、この男の「殺した」とは、そういう人が人を殺すこととは違う。 強いて言うなら、道端を歩く虫を殺すのと同じ感覚。 セフィロスにとっての人間は、犬や猫などの動物と同じ。 何故なら、当のセフィロスが人間ではないのだから。 「武器として使えるのは――これか」 『 クロスミラージュ 「機動六課」前線フォワード部隊の一員が用いる、拳銃型インテリジェントデバイス。 通常形態のガンズモード、クロスレンジ用のダガーモード、ロングレンジ用のブレイズモードに変形』 見覚えのある武器だったのは幸いであろう。 これはティアナの使用している二挺拳銃のデバイスだ。 各種レンジに対応したモードが備え付けてあり、あらゆる戦況でそつなく使用することができる。 しかし、それでも尚、セフィロスには腑に落ちないところがあったようだ。 「…よりにもよって銃か…」 ソルジャーは銃を使わない。彼らの超人的な肉体を活かすのは、銃ではないからだ。 普段剣で戦っている彼にとって、銃はあまり使い慣れたものではない。どうしても不便な印象が残る。 ダガーモードがあるだけましかもしれないが、それも正宗に比べれば絶望的なリーチ差だ。 せめてレヴァンティンならばよかったのだが。 そんな思考が、セフィロスの脳裏をよぎった。 愚痴っていても始まらないので、彼は再び荷物を漁り始める。 新たに見つけたのは、1枚の紙切れ。 一般に言うトレーディングカードゲームだ。聖職者のような服装をした、中年の女性が描かれている。 『 治療の神 ディアン・ケト デュエルディスクにセットすることで発動可能。自分のライフポイントを1000回復する』 ライフポイントを回復する、ということは、要するに治療のためのものなのだろう。 セフィロスはそう解釈することにした。 「それにしても…何故そのデュエルディスクとやらも付属していないんだ…」 そしてまた愚痴をこぼし、ため息をつく。 それらしいものが見られない以上、どうやら今のところ、この治療用具は宝の持ち腐れらしい。 まったくもって装備に不満が多すぎる。 しかし、これが基本なのだろう。でなければゲームとしては面白くない。 少なくとも、傍観している側からは。 ならば、欲しいものは相手から奪い取れ、ということか。 「…クロスミラージュ・セットアップ」 セフィロスはそう呟き、待機状態のクロスミラージュをアクティブにする。 すぐさま、ティアナが愛用していたハンドガンの片割れが姿を現した。 「今は俺がお前を使うことになっている」 『Yes,Sir.』 あまりにあっさりとした返答だ。 普通の人格型デバイスなら、持ち主以外が使用する時には何らかのリアクションを示すだろう。 であれば、何らかの改造が施されているということか。 メモリーを消去するなり、あるいは、誰が所有者であろうと命令を聞くようにするなり。 「技は何が使える?」 だとすると、機能の方にも何らかの変化があるのかもしれない。 そう判断し、ひとまずセフィロスは問いただす。 『クロスファイアシュート、ファントムブレイザー、…』 読み上げられた名称は、全てティアナが用いていた技のもの。 どうやら彼女個人のテクニックである幻術魔法以外は、一通り使用できるらしい。 「十分だ」 そう独りごちると、セフィロスはデイバッグを持ち上げた。 そのまま周囲を見回し、適当な木の洞を見つける。 そこそこに大きな木の根元にぽっかりと空いたそこは、人1人が入るには申し分ない大きさだ。 セフィロスはそこにデイバッグを投げ入れると、自身もその中に入り、どっかと腰を落ち着かせた。 あぐらをかいて座ること数分。参加者の名前が載った名簿を読むことすらしない。 『どうされるつもりですか、サー?』 クロスミラージュが問いかけた。 常人を遥かに凌駕した、侵略者ジェノバの力をその身に宿す魔人。 そのセフィロスは、今後この狂気渦巻く戦場でいかに立ち回るつもりなのか、と。 「特に何も」 返ってきた返事は、あまりに予想外なものだった。 『What?』 無口なはずのクロスミラージュが、たまらず聞き返す。 「俺は特に何もしない。じたばたするよりは、周りが殺し合ってくれた方が楽に生き残れるだろう」 セフィロスはそう答えた。 彼は知っている。 こういう極限状態ならば、必ず何人かは、制限時間切れの死亡を避けるために進んで殺人者となることを。 自分が無理に動く必要はまるでない。手間がかかるだけだ。 普通は思いつかない戦術。それをすんなりと思いつけるほどに、セフィロスは落ち着いていた。 人が死んだ? 目の前で殺された? そんなこと、元より知ったことではないのだから。 『もしも、敵に見つかった時は?』 「さすがにその時は反撃するまでだ」 逆に、自分が誰かを殺すことにも心は痛まない。 そもそも彼にとって殺人は願望だ。自分の住む星の人間を皆殺しにし、支配することがジェノバの――そして、セフィロスの悲願。 『仮に、お知り合いが攻撃を仕掛けてきた時は?』 クロスミラージュは尚も問いかける。 脳裏に浮かぶのは、機動六課で共に戦った者達。あの会場にも見られた、孤独な自分を受け入れてくれた人達。 ジェノバとしての使命を受け入れて以来できた、初めての仲間。 誰よりも、全てのきっかけとなった、あの短い茶髪の女。 「…どうにでもなるさ」 しかし、非情な声で、セフィロスは答えた。 【一日目 AM0 13】 【現在地:H-1 森林】 【セフィロス@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使】 [状態] 健康 [装備] クロスミラージュ@魔法少女リリカルなのはStrikerS [道具] 支給品一式・魔法カード「治療の神 ディアン・ケト」@リリカル遊戯王GX [思考・状況] 基本 事態を静観し、潰し合うのを待つ 1 とりあえず禁止エリアだけを警戒すればいいか 2 向かってくるのならば、六課の連中だろうと問答無用で殺す 3 一応食料は探しておこう [備考] ※能力・思考基準はゆりかご攻防戦直前です ※ヴァリアブルバレットは、コツが分からないので使用不可です 002 本編投下順 004